2020/10/29 02:06

1.綿(コットン)

天然繊維の中で、最も衣料に多く使われています。吸湿性が良く、強くて丈夫です。アイロンを直接当てても熱に強いため長持ちします。水洗いをすると縮んだり、シワになります。また染色してある衣料は色が落ちていく特徴があります。

衣料で代表的なものは綿素材のTシャツやトレーナー、シャツなどです。肌触りが良く汗も吸うため着心地が良いです。

綿は原産国によって繊維の長さが違います。主に短繊維綿、中繊維綿、長繊維綿があります。
最も長いのは超長繊維綿です。長いほど上質な綿です。最近はユニクロなど一般的な量販店でも使用されることが多くなり、身近な素材になってきました。
他に有名なブランドとしてはチャンピオンのトレーナーなども上質な綿を使用しています。

2.麻(リネン)

春夏物の衣料によく使われています。温かみのない素材のため、着心地がとても涼しく感じます。
代表的な衣料は春夏向けのシャツです。最近では多くのブランド、メーカーが夏の定番衣料として販売しています。

麻は衣料品に使用される素材の中で最も耐久性があります。しかし取り扱いに注意が必要な点がいくつかあります。
水洗いによる縮みとシワが生じます。また、色落ちします。洗濯は手洗いにて行い、脱水後は型を整えることが必要です。

3.毛(ウール)

家庭用品品質表示法で、動物の毛であれば全て毛と表示してよいことになっています。
その中で大半を占める毛がウール(羊毛)です。そのため厳密には毛=ウールとはなりません。
また、カシミヤ、アルパカ、アンゴラ、モヘア、キャメルも毛になります。
ウール同様にこれらも毛の他に動物の名前の表示が認められています。

衣料に使用される毛の大半がウールです。ウールは弾力性があり膨らみがある、シワになりにくいなどの優れた特徴があります。何より温かみがあります。そのため、冬物衣料には欠かせない素材です。
最近は高級ウールと称されるメリノウールが多く見られるようになりました。
ウールの中でも産地により品質が変わります。きめ細かさ、肌触り、温かみなどが違いに表れるのです。

また、デメリットは水洗いにより縮みます。また、保存環境などによっては虫に食われる場合があります。ウール以外の原料にも特徴があります。

カシミヤ

カシミヤはアジア大陸の寒暖の差が激しい内陸部の高地や山岳地方で飼育されている「カシミヤ山羊(Capra Hircus Laniger)」の産毛です。カシミヤは繊維がきめ細かいため肌触りがよく、さらにウールに比べて伸びがあるため着心地が良いと言えます。

アルパカ

アルパカはアンデス地方のマイナス20℃にもなる厳しい環境で飼育されています。繊維の中に空洞があるため軽く、保温効果に優れています。
保温性はウールやカシミアよりも優れていると言われています。ウールのような毛玉も出来にくく、シワになりにくいのが特徴です。

アンゴラ

アンゴラ(Angora fiber)は動物繊維の一種で、アンゴラヤギ、もしくはアンゴラウサギの毛またはそれを織った布のことを言います。通常アンゴラは、ウールやナイロンなどと混紡され、コートやセーターなど防寒着用素材として利用されるが多いです。軽いですが、毛が落ちやすいデメリットもあります。

モヘア

モヘア(mohair)は、アンゴラヤギ(Angora goat)の毛から作った織物です。アンゴラウサギ (Angora rabbit) の毛と同じという話もあります。主にスーツやセーター、ショールに使われます。

キャメル

ふたこぶラクダというラクダのことです。旧ソ連南部、中国西北部、中央アジアなどに生息しています。。ラクダには一こぶラクダと二こぶラクダの二種類いますが、衣料用に使われるのはふたこぶラクダのものです。生産量は羊毛のわずか0.14%程度のため、きわめて稀少な繊維で高級品です。

4.絹(シルク)

天然繊維の中で、日本で生産される唯一の原料です。蚕の繭から取った動物原料です。
軽くて丈夫、柔らかい、光沢感がありしなやかな風合い、保温性と吸湿性に優れているなどのメリットがあります。デメリットは家庭での洗濯が困難であること、シミになりやすい、光に当たることで変色しやすい点があります。

絹は日本で生産されていることはもちろん、アジアではベトナム、タイ、カンボジアなども有名です。
衣料でシルク製は高級とされる傾向があります。また、高級ブランドの衣類に使用される傾向があります。

化学繊維

化学繊維は再生繊維、半合成繊維、合成繊維があります。これらは人工的に作られた繊維です。
ここではナイロン、ポリエステルなど衣料に使用される一般的な素材まで説明します。

5.再生繊維

再生繊維には、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセルがあります。
レーヨンとポリノジック、リヨセルは木材パルプが原料です。
キュプラは綿を元にして作られた繊維です。パルプや綿を化学的に作り変えた繊維のため、再生繊維と呼ばれています。

以下の特徴があります。

  1. 絹に似た風合い
  2. 吸湿性がある
  3. 水に濡れると強度が低下する
  4. プリーツ性はない
  5. 縮みやすい

レーヨン、キュプラなどはコートやアウター、スーツの裏地に使用されることが多いです。さらりとした質感で袖通しが良いです。
ただし、伸び感がないため衣料を選ぶ際は試着をされることをお勧めします。

6.半合成繊維

半合成繊維には、プロミックス、トリアセテート、アセテートがあります。
聞きなれない繊維ですが、アセテートは衣料に使われることがあります。
半合成繊維は、天然物質と化学物質を混ぜて作られた繊維です。両方の特徴が活かされています。

半合成繊維は以下の特徴があります。

  1. さらりとした風合い
  2. 軽い
  3. プリーツ性がある
  4. アセテートは強度がない
  5. アセテートはシワになりやすく、シワが取れずらい
7.合成繊維

合成繊維で衣料によく使われる素材はポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタンです。
原料は石油です。共通した以下の特徴があります。

  1. 強度がある
  2. 軽い
  3. プリーツ性がある
  4. 虫やカビに強い
  5. 吸水性が低い
  6. 静電気が起こりやすい
ナイロン

ウインドブレーカー、スキーウェアなど冬用のスポーツウエアなどの衣類に用いられています。
最近はバリスティックナイロンのような耐久性に優れたナイロンが広く普及し始めており、旅行バック、カジュアルバック、ビジネスバックにもよく使われています。

ポリエステル

ポリエステルは、混紡や撚り合せをすることで強度の高い糸を作ることができます。衣類では綿素材との混紡でセーターやワイシャツ、ユニフォームなどに使用されます。
ポリエステルを混紡することでシワになりにくく、縮みにくくなるため、衣料が長持ちする傾向があります。

アクリル

ジャージやセーター、靴下など様々な服飾品に使用されます。ナイロン、ポリエステルと同様に型崩れ、ゆがみなどを避けることが出来ます。
また、混紡することで色を綺麗に出せるというメリットがあります。

ポリウレタン

ポリウレタンの最大の特徴は伸びることです。
主にスポーツウェア、ゴルフウェアやテニスウェアのインナーに活躍します。
最近ではアンダーウェアやカジュアルパンツ、スーツにいたるまで様々な衣類に混紡されています。

ポリプロピレン

近年、アパレルや繊維産業で注目されています。化学繊維の中で最も軽い繊維です。水を吸わない繊維であり、軽くて強く、価格も安い特徴があります。プラスチックに使われる素材で知られていますが、今後は衣料にも使われていくことが期待されています。デメリットはアイロンやドライクリーニングに向いておらず、染色することも困難という点です。このような課題も今後、克服されていくことが期待されています。

指定外繊維

家庭用品品質表示法では、日本で販売される全ての衣料に、素材の表示が定められています。
表示できる素材は決まっており、その素材に当てはまらないものが指定外繊維です。モダール、リヨセル、テンセルなどがあります。
品質表示タグには指定外繊維と記載され、繊維名か商標名が一緒に記載されています。
中には聞きなれない素材もありますので確認されるようにしてください。